佐藤亮介

記者紹介

佐藤亮介

京都大学大学院情報学研究科所属の修士1年生 大阪生まれ大阪育ち。大阪大学応用理工学科を卒業後、よりハイレベルな環境でデータ解析を学ぶため京都大学へ進学。現在は、製造業を対象としたデータ解析に勤しむ。今更ながら英語の必要性に気付き、格闘する毎日を送っている。

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製造業に機械学習を導入する実用事例を見ていこうと思います。今回は日立の自動監視システムを事例として取り上げつつ、ご紹介をしていきます。

前回の記事は、こちらになります。

はじめに

近年、工業技術の進化により、製造業の工場では自動化が加速しています。
とはいえ、全ての工程を自動化することは困難であり、人手で行われている工程も多くあります。
人による作業にはミスがつきものであり、製造業として重要となる

  • 製品の品質改善
  • 生産性の向上

を実現するためには、現場監督による作業員の監視(モニタリング)が不可欠となります。    

前回記事を読んでいただいた皆さんであれば、監視も機械学習でできるのでは?と思っていただいたはずです。
今回は、機械学習を使った日立製作所の自動監視システムについて紹介します。

どんなシステム?

株式会社日立製作所は、株式会社ダイセルの協力のもと、製造現場における作業員の逸脱動作やライン設備の動作不具合などの予兆を検出し、品質改善や生産性向上を支援する画像解析システムを開発しました。

要約しますと、人と機械の異常を機械学習を用いて自動で検出するシステムが開発されたということです。
このうち今回は、『人の動き』に関する異常を検出するシステムに注目します。

検出技術を支える2つの要素

作業員の逸脱動作検出技術とは、定められた標準作業から外れた作業員の動作(逸脱動作)を検出するセンシング技術のことで、大きく分けて2つの要素により実現しています。

1. 画像認識技術

作業員の動作認識を行うにあたっては距離カメラを用いることで、人物の三次元形状から、関節位置情報(例:手、肘、肩)を取得することができます。

距離カメラは、ゲームに使われるMicrosoftのKinectが有名です。

2. 検出アルゴリズム

まず、正常に作業が行なわれているサンプル動画を集め、画像認識技術により取得した関節位置情報から標準動作モデルを構築します。

モデルのイメージは以下の図になります。

引用元 : http://www.hitachihyoron.com/jp/pdf/2016/04/2016_04_07.pdf
引用元 : http://www.hitachihyoron.com/jp/pdf/2016/04/2016_04_07.pdf

図の中で特徴量という概念が出てきていますが、今は「次元1」が「手の位置」、「次元2」が「肘の位置」というようなざっくりとしたイメージで理解して頂ければ問題ありません。

分布の中心に近いほど正常な動作であることを表し、中心から外れるほど正常ではない動作、すなわち逸脱動作であることを表しています。
(このようなモデルを確率分布と言います。)

この標準動作モデルと比較することで、作業員の逸脱動作を検出することができます。

おわりに

今回は機械学習を用いた自動監視システムを紹介しました。
このような事例を通し、機械学習が実際にどのようなところに活用されているかを知っていただくことで、ビジネス応用のイメージを膨らませていただければ幸いです。